佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』 私の感想ツイートまとめ
佐藤亜紀の長編小説『喜べ、幸いなる魂よ』 Jubilate, o vos animae beatae(KADOKAWA)に関する私の感想ツイートをまとめました。
天才でエゴイスト 誰も彼女には手が届かない
18世紀ベルギー、フランドル地方の小都市シント・ヨリス。ヤネケとヤンは亜麻を扱う商家で一緒に育てられた。ヤネケはヤンの子を産み落とすと、生涯単身を選んだ半聖半俗の女たちが住まう「ベギン会」に移り住む。彼女は数学、経済学、生物学など独自の研究に取り組み、ヤンの名で著作を発表し始める。ヤンはヤネケと家庭を築くことを願い続けるが、自立して暮らす彼女には手が届かない。やがてこの小都市にもフランス革命の余波が及ぼうとしていた――。女性であることの不自由をものともせず生きるヤネケと、変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするヤン、ふたりの大きな愛の物語。
喜べ、幸いなる魂よ | 佐藤 亜紀 |本 | 通販 | Amazonより
この小説を私は「小説野性時代 」連載中から読んでおり、折に触れて感想をメモしていました。
Twitterから(私の感想ツイートまとめ)
「小説野性時代」連載の感想
#insidebruegel @insidebruegel https://t.co/FSkUoJehDd
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 2, 2021
《子どもの遊戯》 ピーテル・ブリューゲル
ウィーン美術史美術館
ファーストインプレッションの記録。。
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 2, 2021
フランドルとはいえ時代が違うけど(小説は18世紀、絵は16世紀)最初のページでこの絵を連想した。読み進めたとき、果たしてこのファーストインプレッションは正しいかどうか。
佐藤亜紀『喜べ、幸なる魂よ』第1回(カドカワ『野性時代』2021年4月号。新連載)
↓こういうとことか胸がぎゅっとくるし、今まさに春だし
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 9, 2021
「春が来ると、亜麻を晒す木箱が川に沈められる。前の年に採って冬中十分に乾かした亜麻を束ねて、両端に穴の開いた木箱に入れて沈める。川の流れで濡れた亜麻の皮が剝がれて髄が剝き出しになる。その木箱に対岸から小石を投げて乗せるのだ。
見付かると追い払われた。木箱の上には石が置かれて、ちょうどいい深さに沈めておく為に毎日調整されている。彼らの遊びはそれを台無しにしかねない。雇い人たちは子供たちをどやし付け、棒で脅し、追い回した。それもまた愉快だった。」
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 9, 2021
『小説 野性時代2021年4月号 』https://t.co/ZspJqgv5jK
Paradise
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 9, 2021
ルーカス・クラナッハ(父)《楽園》1530年
ウィーン 美術史美術館https://t.co/dNbUE4cMaX
佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』第1回
最後の印象はこれになった。
もしくはこっちか?
ルーカス・クラナッハ《エデンの園》https://t.co/JNGDaaNeFh
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) April 9, 2021
(別の場所に個人的なメモとして残していたもの)https://t.co/DD81PHL83b
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
佐藤亜紀『喜べ、幸なる魂よ』第1回
自分用メモ。まだちゃんと調べてない。
モーツァルト「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」https://t.co/7di1O3lHZ1https://t.co/FMVSBDNKjE
なにかとわかんないのでメモだけ
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
モーツァルトの Exsultate, jubilate
踊れ、喜べ、幸いなる魂よhttps://t.co/0tyPexBQnihttps://t.co/FMVSBDNKjE
佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』第2回
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
・煙に巻かれる
・語り手がぐるんぐるんする
・やられた感
「「で?」「で?」ヤネケは言葉に詰まった。「最終的には均衡する」」
—『喜べ、幸いなる魂よ (角川書店単行本)』佐藤 亜紀著https://t.co/buUkRaLLWN
佐藤亜紀「喜べ、幸いなる魂よ」
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
「繊維産業の町」なんだよね、共通点
栃尾(でいいのかな)も、この作品の町も。
そして支配者が次々変わる。
亜麻の花とか繊維(髪の色!)、レースの写真
↓
(2ページ目)https://t.co/REOghw2xoA
佐藤亜紀「喜べ、幸なる魂よ」連載終了。読後の感情を満喫中…
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
″ユリウス・カエサル以来ありとあらゆる帝国が通り過ぎた土地の人間は、強情になるしかない」 それもまた、死んだ人々の後に坐っているということだ。″
—『小説 野性時代 第217号 2021年12月号 』https://t.co/T04R2iyrFR
ネタバレに気をつけつつ
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
佐藤亜紀「喜べ、幸なる魂よ」18世紀ベルギーが舞台。上記引用箇所、ちょうど南川高志『新・ローマ帝国衰亡史』を読んだところだったのはよかった。フランス革命、神聖ローマ帝国、ハプスブルクの歴史も知っておきたい。
次々支配者が変わってもその土地に生き続ける人々の姿…
佐藤亜紀「喜べ、幸なる魂よ」
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
『金の仔牛』を彷彿とするような箇所も。というか今、政治経済トピックでこういうことやんややんや言われてる。
第一話から時は流れ、大きな「歴史」が社会を変えて、でも家族に落とし込むと人が生まれ人が死に、また二人でベッドに潜り込んで髪を愛ででぐるっと巡る。
佐藤亜紀「喜べ、幸なる魂よ」
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
作品とは直接関係ない感情
誰かが子どもをうまなけば血脈は断絶しちゃうんだけど、その時残るのは何か。何も残らないのか。生きた証と死んだ証とは何か。
ただの椅子、席、場所で、次の人がすわるだけ。
少しネタバレです。
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
中島みゆき「永久欠番」
“愛した人の席がからっぽになった朝
もうだれも座らせないと
人は誓ったはず
でも その思い出を知らぬ他人が平気で座ってしまうもの“
https://t.co/69bmwkrj9H
佐藤亜紀「喜べ、幸なる魂よ」は、そこから先も言語化されていて、
「思い出を知」っている人間も誰かの席に次にすわる話。誰かの思い出を知ったまま、それを踏まえてすわる。
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) November 25, 2021
そうしているうちに誰かの思い出は自分の…次の誰かにとっては誰かの思い出になっていく。
その繰り返しが積み重なって強かな何かになっていく。
なお、佐藤亜紀の長編小説『金の仔牛』、先日、電子書籍版とペーパーバックで復刊されています。18世紀パリ・ヨーロッパを舞台にした経済システム小説、でもあります。ミシシッピ・バブルが扱われています。https://t.co/lLIaUQ3S7s
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
参考
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
翻訳家 風間賢二さんによる書評 日本経済新聞朝刊2012年11月4日付
金の仔牛 佐藤亜紀著: 日本経済新聞 https://t.co/E9on3BTUjV
“紙幣というのは経済システムにおける関係性と信用というあやうい場に生成する表象作用であり、それは記号=言語と完全に同じものだ。となると紙幣(同様に株)もまた言語と等しく多義性・曖昧性をはらみ、意味のインフレーションをおこす。“https://t.co/jIKD4CSp19
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 22, 2022
単行本感想ツイート
今ごろになって佐藤亜紀さんの『喜べ、幸いなる魂よ』についてここ数日いろいろ調べており、
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 24, 2022
この本の副題…書名のラテン語 Jubilate,o vos animae beatae
小説とくるりの「ジュビリー」とは100%関係ないのに、なんだかこの曲を思っちゃう。
※上記、完全に私個人の感想です。
ジュビリー (京都音楽博覧会2017 IN 梅小路公園) https://t.co/csFmCENy2G
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 24, 2022
くるりの「ジュビリー」、晴れていたのがめまぐるしく変わっていくような曲調が好きで
くるりの「ジュビリー」の歌詞の一節
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 24, 2022
Jubilee
歓びとは 誰かが去るかなしみを
胸に抱きながらあふれた
一粒の雫なんだろう
佐藤さんの『喜べ、幸いなる魂よ』の、次々に大事な人が亡くなる、それでもただ一人は存在し続ける、という禍福の交錯が共通してるように思えてるんだと思う、私には。
美術史美術館、ピーテル・ブリューゲル《雪中の狩人》の解説動画https://t.co/J6xByqlw9B
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 24, 2022
佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 25, 2022
本の最初に18世紀フランドル地方の地図が載っており、その地図の実在の地名ヘントとコルトレークを斜辺にした直角三角形の先っぽ、川沿い、ベギン会があった、をヒントに探すと
舞台の小都市「シント・ヨリス」って、ベルギーのアウデナールデ Oudenaarde ではと推理…
アウデナールデについてhttps://t.co/KnIrpOOl4zhttps://t.co/N1XXw0lUlb
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 25, 2022
アウデナールデのベギンホフhttps://t.co/ouxY4xusqa
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 25, 2022
DeepL翻訳によれば
“ペストの聖人である聖ロシュの肖像が描かれた色鮮やかなバロック様式の門が印象的です。白い小さな家々は、ほとんどが19世紀から20世紀にかけて再建されたもので、17世紀に建てられたものはごくわずかです"とのこと
アウデナールデのベギンホフhttps://t.co/KAFG9euAGb
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 25, 2022
ベギンホフについてhttps://t.co/8vmayLh1Pi
— Yukako MATSUMOTO (@snowystreet) August 25, 2022
DeepL “個人および/または共同住宅の集合体で、通常は礼拝堂や教会の周辺にあり、1つ以上の入り口門を持つ塀で囲まれていることもある。特にオランダでは、単身者や高齢者が住む小さな家をまとめて“ホフと呼ぶ、と